「徳川幕府が開かれたのは何年ですか?」→「1603年!」
「リトマス試験紙は●●性だと青色に変わります」→「アルカリ!」
「y=ax+bの時、切片は?」→「b!」
なんかのクイズみたいですが、こうやって、知識を問われる問題を出されると、即座に答えを言える人がいます。実際、それを競ってテレビではいまだにクイズ番組をやっていたりする。
「答えのある問題」には、日本育ちの多くの人、少なくとも30〜40代くらいの人なら、長年慣れ親しんできたでしょう。なぜなら、学校教育の大半がこういう暗記重視のカリキュラムで占められていたから。
ところが、私がいまさら言うまでもなく、知識量において人間はAIに勝てません。
なので、そうじゃないところで勝負する必要がある。その一つが「問いを立てる」力だと思います。
私も日本型暗記重視教育にどっぷり浸かってきたので、これ、難しいんですよね。「答えを考えてみよう」とは教わるけど、「問いをつくってみよう」とは言われた記憶がありません。
そんなわけで、大人になってからでもなかなか身についてないわけですが、今日は3冊の本を参考に、「問いのつくり方」を3つのステップに分けて書いてみたいと思います。
<ステップ1>まず、ひたすらキーワードを書いて、グルーピングする。
キャリア、AI、リスキリング、日本、物価、空気、お金、雇用、生産性、スマホ、メタバース、ChatGPT、学び直し、、、、
例えば↑な感じで、思いつくにまかせて、キーワードをまず書きます。
そうしたら、↓のようになんとなくグルーピングしてみます。
テクノロジー:AI、スマホ、メタバース、ChatGPT
人生100年時代:キャリア、リスキリング、学び直し、お金、雇用
グローバル:日本、生産性、物価、空気
ここで参考にしたのは↓ですね。
テーマは、実はあなた自身の中にあります。「何かおかしい」「どうしてなんだろう?」と疑問に感じる引っかかりの中に、レポート・論文の種があります。(P44)
『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる レポート・論文のまとめ方』(すばる舎、新田 誠吾著)【本①】
思いついた種は、メモにして書き出します。(P46)
キーワードを見つける→キーワードを関連づける→問いをとりあえず決める→問いを分けて考える(P4の要点)
『問いをつくるスパイラル 考えることから探求学習をはじめよう!』( 日本図書館協会 )【本③】
<ステップ2>とりあえず、「なぜ?」「どうしたら?」とキーワードをくっつけて疑問文をつくる。
続いてステップ2。質はともかく、無理矢理でもくっつけて、疑問文をつくりましょう。↓な感じです。
- AIに負けないスキルはどうやって身につけるのか?
- なぜメタバースはビジネスの新しい可能性を開くのか?
- 40代の会社員はどうすれば効果的な学び直しができるのか?
- 日本はなぜ諸外国と比べて生産性が低いと言われるのか?どうしたら、グローバル競争に勝ち残れるのか?
↓を参考にしています。
それでは、「なぜ」の主語を分解していくにはどうしたらよいのか。ここで提案するのは、「なぜ」という問いを立てたら、今度は「どうなっているのか」という実態を問う問いを間にはさんでいくという方法です。つまり、「なぜ」の問いを、その主語を分解したうえで、「◯◯はどうなっているのか」という問いへと分け、さらにそこから、また次の「なぜ」を導いていく。実態を問う問いと因果を問う問いとが交互に出てくるやりかたによって問いを展開していくのです。(P219)
『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』 (講談社+α文庫) 、苅谷 剛彦著)【本②】
ビジネスの世界では、こうした「なぜ」という問いの形式よりも、「どうしたらよいか」という<方法や方針を問う>形式の問いが多いでしょう。たとえば、「どうしたら売り上げが伸びるのか」といった問いです。この問いは、売り上げを伸ばすという目的に対して、「どうしたらよいか」は、どんな方法や手段があるのかを考える問いになっています。ところが、見かたを変えてみると、この「どうしたらよいか」という問いも、因果関係を問題にしている場合が多いのです。「どうしたら売り上げが伸びるのか」であれば、「売り上げが伸びること」が結果で、そうした結果を生み出す原因を探そうというのが、「どうしたらよいか」になります。(P199)
『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』 (講談社+α文庫) 、苅谷 剛彦著)【本②】
「〜について」や「〜とは何か」という問いを立てると、答えは「〜である」という説明で終わってしまい、論文・レポートが目指す問題解決につながりません。そこで、whatではなく、why(なぜ)やhow(どのように)、should(すべき)といった視点で、改めて問いを考えてみます。(P75)
『はじめてでも、ふたたびでも、これならできる レポート・論文のまとめ方』(すばる舎、新田 誠吾著)【本①
「それはなぜ?」ーWhy?の問い
この問いは、原因・理由を求める問いです。集めた情報・知識を分析する力が必要になります。「なぜ?」の問いを繰り返すことで、説明のための論理が身につくので、考えるトレーニングとして大事な問いです。「どうすればいいの?」ーHow?の問い
『問いをつくるスパイラル 考えることから探求学習をはじめよう!』( 日本図書館協会 )【本③】
現実的な解決方法、問いに対する答えを考えるのが、この問いです。社会に出たら、最も重要な「問い」になるかもしれません。考えるトレーニングの仕上げの問いともいえます。
(P5)
<ステップ3>問いを小さくして具体的にする。
さて最後は、↓のように問いのサイズを小さくして細かく分解してみます。
- ChatGPTにはできない、人間ならではの文章スキルをどう身につけたらいいか?
- メタバースは「3Dに酔ってしまう」という人もいる。そのような人を取り込むために、どんなソフトウェアやサポート体制が必要だろうか?
- 40代の会社員はいそがしく大学院に通うお金も時間もない。1日1時間だけ本や動画から学ぶとして、どんな工夫ができるだろう?
- いっそのこと、政策的に水曜休みの週休3日制を全国的に導入したら、GDPにどう影響するか、ビッグデータでシミュレーションしたらどんな答えが出るだろうか?
するとどうでしょう?この例が「よい問い」になっているかはさておき、結構リアルに具体的に考えられそうな気がしてきませんか?
ここは↓を元にしています。
ブレイクダウンすることによって、「大きななぜ」をいくつかの「小さななぜ」に分けて考えていくようにしてみましょう。そのためのひとつの方法は、「なぜ」という問いに含まれる「主語」を、それを構成する下位の集団に分解していくことです。(P218)
『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』 (講談社+α文庫) 、苅谷 剛彦著)【本②】
なぜ問いを小さな問いに分解するの?
『問いをつくるスパイラル 考えることから探求学習をはじめよう!』( 日本図書館協会 )【本③】
1.作業をどうやって進めればいいかを考えやすくするため
いきなり問いに答えようとすると、どこから手をつけていいかわかりません。そこで、問いを小さく分けます。そうすると、答えが見つかりそうなものから順番に手をつければいいので、とりあえず具体的な作業にとりかかることができます。
2.自分が本当は何が知りたいかをはっきりさせるため
いったん選んだ問いを小さな問いに分解してみると、自分が本当に追究してみたい問いがもっとはっきりしていきます。
(P64)
さて、ここまでの流れをまとめると、↓な感じです。
<ステップ1>気になるキーワードを書いてグルーピングする。
<ステップ2>「なぜ?」「どうしたら?」×キーワードで疑問文をつくる。
<ステップ3>問いを細分化して具体的にする。
どうでしょう?とりあえず、「問いを立てる」という目的は、結構スラスラと達成できたのではないでしょうか?
ChatGPTは、何もないところから、人間のニーズを汲んで勝手に問いを作り出してくれることまではできません。
彼らに適切な答えを出力してもらうためにも、適切な問いを人間が立ててやる必要があります。そういう専門職(プロンプトエンジニア)がすでに出てきて、高給取りになってたりしますね。
ということで、今日は、AIに負けない! 苦手な人でもできる「問いの立て方」について書いてみました。
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