『うまくいっている会社の非常識な儲け方』(おじま 優來氏)書評

儲けのカラクリが「?」なビジネスモデルの種明かしをしてくれて、ビジネスの視野が広がる本

「コーチング30分1回5,000円」「ITサポート月額100,000円」「ライティング1記事50,000円」などなど、スモールビジネスに慣れている方であれば、こんな商品で稼ぐのが「常識的」でしょう。

ですが、この本は「非常識な儲け方」を教えてくれます。読んでみると、「へぇ、こんなしくみで儲けてるんだ〜」と手品の種明かしをされたような印象を抱くかもしれません。

起業して間もない、もしくはこれから起業したい。特にそういう人が読んでおくと、ビジネスの視野が一気に広がると思います。

もちろん、すでにバリバリ活躍されている経営者の方でも、自社の調子が下降気味のときなど、V字回復のきっかけを掴めるでしょう。

「100円で仕入れたリンゴを150円で売る」のは、原始的な商売のイメージかもしれません。もちろん、果物屋さんとか、それで成り立つ業種もありますよね。

でも、じつは世の中にはビジネスモデルは無限にある。どうやって利益を生み出しているのか、一見謎なものもあります。

そして、うまくいっている会社は、この謎の裏側をうまく活用して利益を得ている。この本はそのカラクリを教えてくれます。

カラクリを理解しようとして原理原則や抽象論を聴いても、「イマイチピンとこない」ことも少なくありません。それを解決するために、本書は事例を多用しています。

カー用品店、コピーライティング、テレビ通販、ワインの卸販売、牛丼チェーン、パーソナルトレーニング、イラストレーター、ウェブ制作、物販コンサル、、、と多種多様な業種の具体例が紹介されているので、リアルなイメージが湧くでしょう。

「非常識な儲け方」のために必要な考え方は何か。それは「逆算思考」。たいていの企業は「先につくりたい商品をつくってから、その商品に合わせた顧客に販売しよう」と考えがち。

そうではなく”ターゲットの顧客を集めるのに、どんな商品を販売すればいいのか?”(P62)と逆に考えなければならない。これが「逆算思考」なのだそう。

一時テレビ通販で話題になった「高枝切りバサミ」をご存じでしょうか?じつはこの商品、単体ではほぼ儲けはありません。それでもたくさん宣伝をして熱心に売ろうとしています。テレビショッピングで流れるあの独特なCMを見たことがある人もいるでしょう。

ネタバラシをすれば、「高枝切りバサミ」は富裕層の顧客リストを獲得するための「前菜」的商品だったのです。

それをきっかけに高額な「主菜」をさらにセールスしていくのですが、その秘密を知りたくなったら、本書を読んでみてください。

このほかにも、吉野家は◯◯で儲けている、マクドナルドの利益源は▲▲だった、RIZAPはじつは□□の会社だった、などなど、「なるほど、そうだったのか」の事例が満載。先をすぐ読みたくて、ページをめくる手が止まりません。

著者は、おじま 優來さん。「言葉の力を使って中小企業の集客、販売促進を支援するコピーライター兼マーケティングコンサルタント」の肩書きをお持ちです。

じつはこの「コピーライター兼マーケティングコンサルタント」というユニークな掛け合わせが、著者の「非常識な稼ぎ方」につながっているわけですが、それもネタバレになるので、出し惜しみしておきます。

冒頭に伏線が提示され、物語が進むに連れてそれらが回収されていくーというミステリー小説みたいな構造の不思議なビジネス書です。

ミステリー好きな起業家が読めば、爽快感のあるエンターテイメントとしても楽しめるでしょう。

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